Baltimore club / Bmore(ボルチモア・クラブ/ビーモア)とは – 音楽ジャンル
意味
省略名:ビーモア・クラブ(Bmore Club)、ビーモア(Bmore、B-more、B More)
同意語/類義語:ボルチモア・ブレイクス(Baltimore Breaks)… 日本のゲーム系DTMer/同人音楽制作者/EDM愛好者にこの呼び方をする人が多い
ボルチモア・クラブ(略称:ビーモア)とは、1980年代後半に米国のメリーランド州ボルチモアで誕生したBass Music(ベースミュージック)であり、ブレイクビートの1ジャンルです。
70年代末のガラージュにルーツを持ち、ヒップホップと(小刻みでスタッカートを使用した)ハウスミュージックを融合、Miami Bass(マイアミ・ベース)、Chicago House(シカゴ・ハウス)、Hip-House(ヒップ・ハウス)、UK Rave(UKレイヴ)などを織り交ぜた楽曲群を指し、2 Live Crew(ツー・ライヴ・クルー)の Luther Campbellや、Frank Ski、Miss Tony、Scottie B.、DJ Spenらがパイオニアであるとされています。
ボルチモア・クラブそのものは、約30年間にわたって複数のジャンル/複数のリズムパターンを広範囲に(ボルチモア産の楽曲も含めて)カバーしながら、ビート感~フィールの近い楽曲を集めた 選曲群 もしくは 音楽ブーム に過ぎず、その中で誕生した特定のビートが、2000年代以降に流行したJersey Club(ジャージー・クラブ)のルーツとなったとして知られています。
(このためボルチモア・クラブの曲には共通した特徴があるものの、楽曲フォーマットは統一されていません。)
Baltimore club(ボルチモア・クラブ)関連映画を表示
ボルチモアクラブから誕生し、ジャージークラブのリズムの原型となった曲、ディックコントロール
ボルチモア・クラブ 1993年のヒット曲「Dikkontrol」の5つ打ちのキックパターンが、現在に至るまでジャージー・クラブのリズムトラックの基本となっています。(それにしてもタイトルが下品すぎます!!)
キックパターン | Why Is Jersey Club Music Everywhere Right Now?
TAPP – Dikkontrol [1993]米Baltimore Breakbeat / Hip Hop
こちらもTAPPのビーモア人気曲
TAPP – Shake Dat Ass Girl [1993]米Baltimore Breakbeat / Hip House
参考:マイアミ・ベース/アトランタ・ベースのビート
Miami Bass~Atlanta Bassのビート/キックパターンについて
参考:「UKガラージ」のビートとの違い
UKガラージ(UK Garage)のビート/キックパターンについて
サマソニ 2023(東京のみ)出演予定
NewJeans – Ditto [2022.12]韓
7月にデビューした韓国の5人組ガールズグループNewJeans(ニュージーンズ)より、ボルチモア・クラブ/ジャージー・クラブのビートを組み込んだ最新ヒット、Billboard Hot 100入り。ちなみに8月リリースの「Cookie」は典型的な Future R&B(フューチャーR&B)、2023年リリースの「OMG」はFuture R&BをベースにTrap(トラップ)のビートとUKガラージ調のビートが交互に現れる複雑なスタイルをとっています。
「Ditto」はボルチモアクラブなのか? ジャージークラブなのか? について
ついに本場ニュージャージーの有名リミキサー、DJスリンクまでがブートレグ・リミックスに乗り出し、この曲をガチのジャージー・クラブ曲に仕立てました!
NewJeans – Ditto (DJ Sliink Edit) [2022.12]韓/米 Jersey Club
LANA – PULL UP [2022.11-12]日本
ラッパーのLEX(レックス)を兄に持つ湘南出身のシンガー LANA(ラナ)より。ボルチモアクラブ/ジャージークラブのビートを使用した洋メロの和製R&B隠れ名作。
日本におけるアンセム曲、LMFAO feat. Lil Jon – Shots
おそらく日本のクラブで最も馴染みの深い曲、海外ではドリンキング・アンセムとして知られるLMFAO(モータウン創設者の息子と孫から成るデュオ)のヒット曲もボルチモアクラブ/ジャージークラブに該当する曲です。邦楽4つ打ちロックへの応用もセットで。
LMFAO feat. Lil Jon – Shots [2009]米
参考)ヤバイTシャツ屋さん – あつまれ!パーティーピーポー [2016]日本 J-ROCK
ビーモアのベースとなったクラシック・ファンク
ヒップホップの創始者 Kool Herc(クール・ハーク)の時代から定番ブレイクビートとして使われてきた、James Brown(ジェームス・ブラウン)とそのバックバンド The J.B.’s(ジェイビーズ)による有名曲「Think」。
Lyn Collins – Think (About It) [1972]米 Soul / Funk (1:22~の箇所)
Thinkブレイクとは? (+Amenブレイク) UKドラムンベース編
Gaz – Sing Sing [1978]
ボルチモアクラブ・アンセム Dance My Pain Away
ボルチモアクラブのゴッドファーザー Rod Lee(ロッド・リー)が制作したビーモア最大のヒット。ボルチモアを舞台としたHBOの犯罪ドラマ「The Wire」サウンドトラックにも収録。ちょうどLyn Collinsの「Think」とTAPPの「Dikkontrol」がミックスされた、ジャージークラブのテンプレート的なビートです。
Rod Lee – Dance My Pain Away [2005]米Baltimore Baltimore Club
ビーモアの代表曲
Nairobi – Funky Soul Makossa (Rap) [1982]スウェーデン Electro Funk / Hip Hop
Karen Young – Hot for you [1983]米Philadelphia Electro Funk / Disco / Soul
Dem Niggas – Git The Hole [1987]米Baltimore House
リン・コリンズ「Think」ブレイクを使用したビーモア代表曲x2
Rob Base & DJ EZ Rock – It Takes Two [1988]米NY Hip Hop / Hip House
Fast Eddie – Yo Yo Get Funky [1988]米Chicago Chicago House / Hip House
N.W.A(エヌ・ダブリュ・エー)在籍時のDr. Dre(ドクター・ドレー)とEazy-E(イージー・イー)がプロデュースした西海岸のヒット曲ですが、実質的にマイアミベース/アトランタベースと同じ系譜です。
J.J. Fad – Supersonic [1988]米California Hip Hop / Bass Music
リン・コリンズ「Think」のヒップハウス・カバー!
Farley Jackmaster Funk presents Precious Red – Think [1989]米Chicago Hip House
The 2 Live Crew – C’mon Babe [1989]米Miami Hip Hop / Miami Bass
Earth People(アース・ピープル)名義でのトライバルハウス傑作「Dance」でもお馴染み、NYハウスの隠れ天才 Pal Joey(パル・ジョーイ)がSOHO(ソーホー)名義でリリースしたもう1つの代表曲。
Soho – Hot Music [1989]米NY Deep House / Jazz House
Stereo MC’s – On 33 [1990]英London Hip Hop
Black Orchidの別名も使うJohnny Perezより、NYガラージハウス専門レーベルStrictly Rhythmの中でも異色のトラック、「Baffalo Gals」ネタ。
Rhythm Warfare – Two Notches [1991]米NY Breakbeat / House
Is That It? – State Of Mind [1991]英 Breakbeat / Techno
Mark One – Hoovers + Spray Cans [1991]英London Breakbeat / Hardcore
2 Bad Mice – No Respect [1991]英London Breakbeat / Hardcore
The Prodigy – Charly [1991]英Essex Breakbeat / Hardcore / UK Rave
Scotty B & DJ Equalizer – I Got The Rhythm [1991]米Baltimore
Doo Doo Brown ビート
mixmag: The 10 Most Essential Miami Bass Tracks
Miami Bass(マイアミ・ベース)から生まれた、Lyn Collinsの「Think」ブレイクのリピートから成るビートです。
The 2 Live Crew – C’mon Babe (Doo Doo Brown Version) [1989]米 Miami Bass
Frank Ski(フランク・スキー)とStanley Evans, Jr.から成る 2 Hyped Brothers & A Dog から、ボルチモア・クラブ・シーンの火付け役となった曲のひとつ。
2 Hyped Brothers & A Dog – Doo Doo Brown [1991] Miami Bass
2 Live Crew(ツー・ライヴ・クルー)の Luke(ルーク)ことLuther Campbell(ルーサー・キャンベル)より。
Luke (2 live crew) – I Wanna Rock (Doo Doo Brown) [1991] Miami Bass
Mr. Mixx (2 Live Crew) & Da Roughneck Posse – Oh My Gosh [1993] Miami Bass
Dua Lipa(デュア・リパ)& Blessed Madonna(ブレスト・マドンナ)の「Club Future Nostalgia」の中でMasters At WorkのLouie Vega(ルイ・ヴェガ)も使用した異色のハウストラック「Percolator」。Hard House(ハード・ハウス)から名を上げたCajmere(カジミア)=現在の名前Green Velvet(グリーン・ヴェルヴェット)はハウスシーンの中でもパンク的なセンスを持つDJです。
Cajmere (Green Velvet) – Percolator [1992]米Chicago House
Tag Team – Whoomp! (There It Is) [1993]米Atlanta Atlanta Bass
Frank Ski – There’s Some Whores In This House [1993]米
前述の 2 Hyped Brothers & A Dog の片割れ、NYハーレム出身マイアミのHip Hop DJ/プロデューサー Frank Ski(フランク・スキー)によるビーモア・アンセム!
Jimmy Jones – Watch Out for the Big Girl [1993]米
ボルチモアのDJ/プロデューサー 故Jimmy Jones(ジミー・ジョーンズ)によるビーモア・アンセム!(※2021年没)
Ghost Town DJ’s – My Boo [1996]米Atlanta Atlanta Bass / Miami Bass
Griff & Booman – Pick Em Up [1997]米Baltimore
Theo – Shorty U Phat [1997]米Baltimore
ボルチモアのラッパー B Richより。
B Rich – Whoa Now [2002]米Baltimore
1961年マーヴェレッツ「Please Mr. Postman」のリミックス。
Supa DJ Technics – Mr Postman [2006-2008]米Baltimore
1986年ポール・サイモンのヒット曲をリミックス。
Scottie B & King Tut – You Can Call Me Al [2007]米Baltimore
ニュージャージーの重鎮 DJ Tameilより、V.I.C.の曲にLil Jonの声ネタを加えた曲。ジャージークラブ側からボルチモアクラブへ流行らせた曲のひとつ。
DJ Tameil – Get Silly [2008]米NJ Jersey Club / Baltimore Club
K-Swift – Hands Up Thumbs Down [2009]
ビーモア・クイーン! ボルチモアの女性DJ/ラジオパーソナリティ DJ K-SwiftことKhia Danielle Edgerton(※2008年没)によるビーモア・アンセム!
DJ Class ft. Kanye West – I’m The Ish [2009]
ボルチモアのDJ/プロデューサー DJ ClassことDaniel Woodisより。
ボルチモア拠点のDJ/プロデューサー Scottie BことScott Riceより。
Scottie B & King Tutt – African Chant [2013]米Baltimore
Say Wut – R U Ready [2014]米Baltimore
ド迫力! Lil Jon: Baltimore Club Mix 各種