Alex Rosner(アレックス・ロズナー)
概要
読み方
アレックス・ロズナー
詳細
Alex Rosner | Red Bull Music Academy
MINI DOCU / « THE NOTE – ALEX ROSNER »
アメリカの電気技師、音響デザイナー。1970年代のディスコブーム期に活躍し、世界で初めてDJミキサーのプロトタイプを開発したことでも知られる。
1935年、著名なユダヤ人バイオリニスト、Henry Rosner(ヘンリー・ロズナー)の子としてポーランド、ワルシャワに生まれる。第二次世界大戦中にアウシュビッツ強制収容所に送られるが、オスカー・シンドラーの手によって脱出、有名な「シンドラーのリスト」に登録されている。9歳のときに家族でニューヨークに移住。
Rosner Custom Sound(ロズナー・カスタム・サウンド)
1959年「Rosner Custom Sound(ロズナー・カスタム・サウンド)」を設立、1970年末までにディスコの300以上のラウドスピーカーを開発する。David Mancuso(デヴィッド・マンキューソ)と親交があり、天井から全方位のツイーターを吊るすという彼のアイデアを実現、現代のディスコ音響でも採用され続けている。
NYのクラブはアレックス・ロズナーによるサウンドデザインであることをアピールするため、こぞって「Rosner Custom Sound」のステッカーを店の入り口に貼ったと言われる。
「Rosner Custome Sound」で働いていた弟子、Richard Long(リチャード・ロング)は木製スピーカーの組み立てに手腕を発揮、「Long Sound Systems」を立ち上げ、Larry Levan(ラリー・レヴァン)のParadise Garage(パラダイス・ガラージ)のサウンドシステムを担当したことで知られる。
DJミキサーを生み出した男
ロズナーはDJ達の求めに応じ、モノラルミキサーの時代に2つのターンテーブルの音をステレオでミックスするDJミキサーのプロトタイプを製作、ミキサー部がバラ色であるためRosie(ロージー)と呼ばれた。これが現在の数あるオーディオブランドのDJミキサーの原型となっている。
このミキサーは元々放送用として製作されたBozak製のモノラルミキサーを創業者のLouis Bozakの許可を得てカスタマイズしたもので、2つのヘッドフォンアンプを内蔵、当時はまだクロスフェーダーを搭載しておらず、チャンネルごとにボリュームつまみが付いたものだった。
ロズナー自身はDJミキサーのビジネス化には無関心だったが、クロスフェーダー付きのDJミキサーが量産され始めた際にも、当時故障の多かったクロスフェーダーにコーラの液を垂らすことで改善されることを発見、クロスフェーダーの製造工程に反映されるなどアドバイザーとしての役割をつとめた。
DJプレイの進化とミックス
「Godfather of DJing」 Francis Grasso(フランシス・グラッソ)
NYのソウルDJ、フランシス・グラッソはBeat-Matching(ビートマッチング: Mixing、Blendingとも呼ばれる)の手法を編み出した最初のDJ。あらかじめメトロノームでレコードのBPM(Beat Per Minute:1分間あたりの拍数=曲のテンポ)を測っておき、BPMの近いレコード同士をつないでプレイ、このDJスタイルを実践するために、在籍していたHaven ClubにロズナーのRosie(ロージー)を導入した。DJミックスを行うにあたっては、2台のターンテーブルのうち1台はヘッドフォンでプレビューし続ける必要があるため、ラジオDJ以外でヘッドフォンを仕事道具とした最初のDJと言われる。グラッソのプレイ対象のレコードはドラムマシンを使用しない(BPMが一定でない)生ドラムの楽曲であったが、ロングミックスを可能とする耳とスキルを持っていた。
Nicky Siano(ニッキー・シアーノ)
グラッソのスタイルをさらに進化させ、3台のターンテーブルを駆使してイントロを延長したりイコライジングによりムードを変えずQuick-Mixing(クイックミキシング:いわゆるブッコミ)といったDJミックスの基礎を築いたDJ。
実際に聴くとピッチ合わせは苦手のようですね… (・´з`・)
ロズナーが音響を手掛けた主なディスコ
- Max’s Kansas City(CBGBより8年早く創業したグラム~パンク前夜期のロックバー/ディスコで、ビートニク作家やアンディ・ウォーホルらのたまり場であり、The Velvet Underground らの活躍の舞台として知られる。他にもRamones、Johnny Thunders、New York Dolls、Devo、Misfitsなど)
- Studio 54(ジェリー・ビーン等が在籍、ウォーホルやマドンナの社交で知られるNY最大のクラブ)
- Warehouse(Frankie Knucklesが在籍し、ハウスの語源となったシカゴのクラブ)
- The Limelight
- Tambourine
- Tamburlaine
関連資料
The Note Episode 1 | Alex Rosner: Shaping the Sound of New York
(字幕機能付き)
Holocaust Survivor Alex Rosner: Music Saved His Life | Treasures of New York